ヒゲデザイン論〜ほおひげ(髯:sideburn:サイドバーン)デザイン論

頬髯は、耳前部(顎関節)から、下方向に伸びたヒゲのことを指します。「もみあげ」も頬髯と 考えてもよろしいかと思います。「ほおひげ」の有名人といえば、アニメキャラクラターでも有名 な「ルパン三世」ともいえるでしょう。

ホオヒゲをデザインするということ。

「髯(ほおひげ:sideburm )」は顔の輪郭でも、横顔を形成する事が可能なヒゲデザインでもあ ります。顎鬚とつなげる事により横顔を強調し、上方向のリフトアップが可能になる部位でもあ ります。ゆえに間違ったヒゲデザインをしてしまうと、顔のイメージがかなり変わってしまうの で注意が必要です。一般的にはヒゲは鏡の前で正面を向いてヒゲをデザインしますが、実際には 他人から観られるのは「横顔」であるのです。ゆえに「ヒゲのプロ」でもある理容店で行われる ヒゲデザインにおいては「横顔」を意識したヒゲをデザインしているのです。そのような事か ら「髯(ほおひげ:sideburm )」は大きなデザイン的な意味を持つ部位でもあるわけです。

まずは横顔を「髯(ほおひげ:sideburm )」から顎にかけてのアウトラインにおけるデザインの 印象変化の様子を述べていきたいと思います。

「頬髯における横顔の標準形(図1)」

前部からゆるやかに顎下部に向けて降ろし、顎骨に剃って顎に伸ばした状態のデザインになり ます。耳前部〜顎下部〜顎を結んだラインは、そのまま正面の顔のアウトラインをデザインする ことができます。これは、そのデザインラインで顔を矯正する事が可能になるということです。 基本的なラインの特性ですが、首側となる顎の骨ラインにおいては、ワンシェービングおよびク ロスシェービングを施術してはっきりとしたラインで構成されます。 このラインを首側に下 げてしまいますと顔は下に下がりますので、注意が必要です。大体の場合は、顎の骨ラインより も首側にヒゲを生やしております。そのような状態では、本来の顔の大きさが顎の骨ラインまで なのに対して、首のほうまでヒゲがある為に顔が下方向に大きくなっているのです。そのときは 顎の骨ラインより下のヒゲは全て綺麗に剃り落してしまいます。

また顎下部から顎までの中間部あたりは、顎の骨ラインで剃ってしまうとなくなってしまう場合 があります。どうしても顎下部から顎にかけてのヒゲをしっかりと残したい場合は、顎の骨ライ ンよりも首側にラインを降ろすデザインも有効です。 ただしあまり下げすぎると顔が下がってし まうので、面長の顔の場合などには注意が必要です。あえて中間部分が無くなっても顎の骨ライ ンで剃り落した場合でも、顎と顎下部のヒゲがあればデザイン的効果はあります。あまりワイル ドな感じにデザインしたくない場合などでは、あえて中間部分を薄くしてしまう事も有効になります。

「はっきりとしたデザインライン」の顎の骨ラインにたいして、頬ラインのデザインは対照的 に「ぼかしたデザインライン」になります。はっきりとした顎の骨ラインで顔の大きさをデザイ ンしますが、頬ラインは自然に顔になじませるデザインになります。ゆえにレザーなどでキチン としたラインを形成するのではなく、凸凹なラインをレザーの刃先などを使用して形成いたし ます。女性の化粧術において、顔の内側の化粧をぼかすのと同じ意味合いがあります。この頬ラ インをはっきりとしたデザインラインにすると、印象が強くなってしまうので注意してください 。

「頬髯のアウトラインにおける印象変化例」

顔の形こそ同じでも、耳前部〜顎下部〜顎までのアウトラインのデザインにおいて印象が大きく 変化します。これは顔の輪郭を矯正できる事を意味しますが、デザイン次第でプラスにマイナス にもできる事でもあります。ゆえにのヒゲをデザインする際に、大きな意味をもつデザインライ ンです。これから述べるスタイルは全て顔の形こそ同じですが、耳前部〜顎下部〜顎までのデザ インラインにおいての印象の変化を論じます。基本的考慮になりますが、下記の例のような状態 の場合には、そのデザインにおける印象を理解することが大切になります。そのデザインではな い場合は、標準的なラインに序所に近づけてあげるプランを移行すると良いかと思われます。ま ずは、例をあげています。

「細く丸い印象を与えるライン(図2)」
耳前部〜顎下部〜顎までのラインを緩やかな曲線で結んだアウトラインです。緩やかな曲線によ り顎下部の印象が少なくなります。縦方向に長い楕円をイメージさせるために、面長なイメージ を助長するので注意が必要です。ただし、様々な顔の形に適応できるデザインです。

「丸い印象を与えるライン(図3)」
耳前部〜顎下部〜顎までのラインを丸みを帯びたラインでアウトラインです。顎下部の印象を丸 みで消してしまいます。エラが張った角顔の場合では、その印象を矯正する事が可能になります 。顔をふくよかなイメージにする為に、二重顎など肥満気味の場合には避けた方が良いデザイン になります。温厚な印象を与えたい場合に適したデザインとなります。

「ホームベース型の印象のライン(図4)」
耳前部〜顎下部〜顎までのラインにおいて、直線的なラインで構成されたアウトラインです。顎 下部においても、角を強調しています。ゆえに顔のアウトラインイメージは、ホームベース型に なります。顎〜顎下部までの顔の奥行きがない場合には、このデザインは有効です。しかし顎下 部のエラが張っている顔の場合は、それを強調することになりますので注意が必要になります。

「角顔の印象を与えるライン(図5)」
耳前部〜顎下部〜顎までのラインにおいて、顎下部の位置を下げたラインで構成されたアウトラ インです。ホームベース型のアウトラインよりも、顎下部の位置が顎に近くなったことにより角 顔のイメージとなってます。顔を下方向にも、奥にも大きくイメージさせるために避けた方が良 いデザインかと思われます。ヒゲの生え箇所により、どうしてもこのデザインになってしまう場 合は顎下部のヒゲを剃り落してしまいます。もみあげとした頬髯と、顎鬚をつなげない事によっ て印象を和らげることができます。

「三角顔の印象を与えるライン(図6)」
耳前部〜顎下部〜顎までのラインのうち、顎下部の位置を前方にづらしたアウトラインになり ます。耳前部から顎下部のラインが前方に描かれるために、顔の厚みが感じられないイメージ になっております。一般的に正面から鏡を観ながら鬚をデザインしている為に、意識せずにデザ インされいる場合があります。顔の奥行きが西洋人に比べてないアジア系の顔つきの場合には、 余計に顔の奥行きの無さを助長してしまいます。また顎も細くなってしまうイメージになる為に 、注意が必要です。お客様がこのようなデザインで来店された場合は、その印象を正確に伝える 事が大切になります。その上で標準的なデザインに近づける為、耳前部〜顎下部〜顎までのライ ンを一旦剃り落します。それが無理な場合は、数回の施術に分けて少しずつ外側にラインを移動 していく事を提案すると良いかと思われます。

「シャープな印象を与えるライン図7)」
耳前部〜顎下部〜顎までのラインにおいて、顎下部にかけて細くなるデザインです。耳前部から 顎下部にかけて細くなり、顎下部から顎にかけて太くなっています。顎下部の部位が細くなって いるために、顎下部が強調されたデザインになっております。細くするデザインはシャープさと 精悍さを印象づけますが、このようなデザインはそれと共に部位を強調させます。顎下部が強調 されるという事は、顔の奥行きが強調されるデザインでもあります。顔の奥行きがないアジア系 人種の場合は有効なデザインでありまが、エラが張った角顔の方の場合は避けた方がよいと思わ れます。また、頬髯が耳前部から顎下部にかけて細くなっているので、面長に印象づける効果も ありますので、耳前部から顎下部まで長さがある方の場合はデザイン的な注意が必要となります 。

「温厚な印象を与えるライン(図8)」
耳前部〜顎下部〜顎までのラインにおいて、顎下部にかけて太くなるデザインです。耳前部から 顎下部において太くなり、顎下部から顎にかけて細くなっていきます。顎下部を太くデザインす ることにより厚さを印象づけ、男性的な温厚な印象を与えております。顎下部が貧弱な印象があ る細顔の方の場合には、この厚みにより有効なデザインとなると思います。歴史的な方でいえば 、歴代アメリカ大統領のリンカーンなどが当てはまるかと思われます。ただし太く厚くしすぎ ると、男性的な温厚さの印象には、野性的な印象も含まれておりますので注意が必要です。エラ が極端に張っている場合は、この厚みで隠してしまって印象を軽減する事も可能です。太さの印 象を調整する手段として、首側(顔外側)から頬側(顔内側)にかけて色彩を徐々に薄くするグ ラデーションが有効になるかと思われます。

「頬髯の複合的変化による印象変化(図9)」
前部は頬骨方向に前に突き出し、さらに顎下部方向にラインが下がるデザインです。ラインが一 度突き出して下がる事により、顎を後方に引き締めた印象を与えるデザインです。ラインの角度 変化によっても、様々な印象変化を促す例となります。顎を後方に引き締めたデザインですので 、顎がしゃくれた状態(受け口状態)の方には有効になります。また姿勢が猫背の方などにも、 顎を引き締めさせるさせる事により有効になるでしょう。ただし顎を引き締めるという事は、格 闘家のような攻撃的な印象を与えます。顎を引き締める事により、目線が下から睨みつけるよう な印象になりますので注意が必要です。顎下部にむけてラインが下がるという事は、頬が顔下部 において大きくなる事でもあるので、顔下部が大きい方は印象を強くしてしますので注意してく ださい。顔の奥行きがない方の場合には、有効なデザインかと思われます。